就労ビザの種類
2022/12/13
就労ビザの基礎知識
外国人が日本で90日以上の長期滞在、または日本国内で報酬を得る活動をする際にはビザの取得が必要です。
その中でも特に就労を目的としたビザのことを「就労ビザ」と呼び、その種類は外交ビザ+公用ビザを含めて全部で19種類あります。
就労ビザとは別に特定活動ビザというものもあり、特定活動ビザは個々の内容によって就労が認められています。特定活動の在留資格はワーキングホリデーや大卒以上の留学生の就職の範囲を拡げた特定活動46号告示と呼ばれるビザが46種類存在します。
在留資格 | 活動の範囲 | 在留期間 | 備考 |
---|---|---|---|
技術・
人文知識・
国際業務 | 大学などで学んだ知識や、母国の企業で培った
経験などと関連する活動であり、
単純労働は含まない
(例)機械工学の技術者、デザイナー、通訳など | 5年、3年、1年
または3か月 | 大学卒業程度の
学位が必要 |
企業内転勤 | 外国の事業所から、日本にある支店・
本店などへの転勤者。 活動の範囲は
「技術・人文知識・国際業務」に準じる | 5年、3年、1年
または3か月 | 大学卒業程度の学位は
必要ない |
介護 | 介護福祉士の資格を有する者が、
介護又は介護の指導に従事する活動 | 5年、3年、1年
または3か月 | 介護福祉士向け。 |
技能 | 「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」、
「高度経営・管理活動」の3つの活動内容に
分類される (例)研究者、大学の教授、会社の経営者や
役員など優遇措置として、複数の在留資格に
またがるような活動が認められている | 5年
または無期限 | 「高度人材ポイント制度」
において、70ポイント以上を
獲得していることが条件 |
高度専門職
1号・2号 | 「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」、
「高度経営・管理活動」の3つの活動内容に
分類される (例)研究者、大学の教授、会社の経営者や
役員など優遇措置として、複数の在留資格に
またがるような活動が認められている | 5年
または無期限 | 「高度人材ポイント制度」
において、70ポイント以上を
獲得していることが条件 |
特定技能
1号・2号 | ◆1号:特定産業分野(14分野)に属する相当
程度の知識又は経験の必要な業務に従事する活動 ◆2号:熟練した技能が必要な業務
(2分野)に従事する活動 | ◆1号:1年、6か月
または4か月ごとの更新、
通算で上限5年まで
◆2号:3年、1年または
6か月ごとの更新 | 技能水準を試験などで
確認する(1号) |
技能実習
1号・2号・
3号 | 単純作業では修得できない技能を、
実習によって習得するための活動 | 法務大臣が個々に
指定する期間
※1年もしくは2年を
超えない範囲 | 労働力の供給の
手段としてはいけない |
興行 | プロスポーツ選手や歌手、俳優など、演劇、演奏等の興業に関わる者 | 3年、1年、6か月、
3か月または15日 | |
医療 | 日本の資格を有する医師や看護師、薬剤師、療法士等医療現場に関わる者 | 5年、3年、1年 | |
研究 | 政府関係機関や企業等の研究者としての活動。 | 5年、3年、1年
または3か月 | |
教育 | 小学校、高等学校、中学校等の教育機関における
学校での語学教育に携わる者 。 | 5年、3年、1年
または3か月 | |
法律・
会計業務 | 弁護士、公認会計士など、法律上資格を
有する者が行うこととされている活動 | 5年、3年、1年
または3か月 | |
経営・管理 | 企業等の経営者、管理者などとしての活動 | 5年、3年、1年4か月
または3か月 | |
外交 | 外国政府の大使などとしての外交活動
また、その家族としての活動。 | 外交活動の期間 | |
公用 | 外国政府の大使館・領事館の職員や、
その家族などとしての活動 | 5年、3年、1年、3か月、
30日、または15日 | |
教授 | 大学などの機関における、
研究や研究指導といった活動。 | 5年、3年、1年
または3か月 | |
芸術 | 作曲家や作家、画家などの芸術上の活動 | 5年、3年、1年
または3か月 | |
宗教 | 外国の宗教団体から派遣される
宣教師などとしての活動 | 5年、3年、1年
または3か月 | |
報道 | 外国の報道機関の記者や、
カメラマンなどとしての活動 | 5年、3年、1年
または3か月 |
「特定技能」と「技能実習」はどう違うのか?
2019年に制定された「特定技能」制度ですが、既存の「技能実習」制度と名前も似ているし、違いがよくわからないという方も多いのではないでしょうか。実際この2種はまったく違う制度です。
「技能実習」といえば、昨今の報道の影響で「就労」のイメージがありますが、本来は、開発途上国への協力という「国際貢献のための制度」として設けられた在留資格です。日本で学んだ技能を母国に伝えることを目的としています。
一方、「特定技能」はまさに「就労」のため、人手不足を補うために設けられた在留資格なのです。
♦特定技能
施行:2019年
目的:人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し、戦力となる外国人を受けて人手不足を解消する
就業可能分野:14職種
在留期間:1号:通算5年
2号:上限なし
転職可否:転職可能
受け入れ方法:特定技能にはとくに制限はありませんので、受入れ企業自ら採用を行ったり、紹介会社を利用したり選択することができます。
受け入れ人数:人数枠なし(介護、建設分野を除く)
家族帯同の可否:1号:不可2号:要件を満たせば可
♦技能実習
施行:1993年
目的:技能移転を通じた、開発途上国への国際協力
就業可能分野:85職種(156作業)
在留期間:技能実習1号:1年以内
技能実習2号:2年以内
技能実習3号:2年以内(合計で最長5年)
転職可否:原則不可
(ただし、実習実施者の倒産当やや無負えない場合や2号から3号への移行時は転籍可能)
受け入れ方法:技能実習生は海外の送り出し機関と提携している監理団体からの紹介しか、受入れることができません。
受け入れ人数:人数枠あり(常勤職員30名以下の企業は3名、優良企業は6名まで等)
家族帯同の可否:不可
新型コロナウイルス感染拡大の影響で需要が高まる特定技能
新型コロナウイルス感染拡大による水際対策で、2022年2月までは海外から求職者を呼ぶことができない状況でした。そのため海外現地からの受入れしか選択肢のない技能実習生は、受入れができていません。
リモートで面接をしたとしても、入国できるまでには年単位の期間を要してしまいました。
一方で、特定技能は国内在住者の採用も可能だったため、外国人の新規入国が進まないなかで非常に注目されました。
技能実習生がコロナ禍により帰国困難となったことから特定技能へ在留資格を移行するケースも増え、国内在留の特定技能外国人は右肩上がりで増加、特定技能外国人の雇用は促進されました。
このような状況から、いま、特定技能外国人の需要が大変高まっています。