特定技能で採用する基本情報
2022/12/21
特定技能で人材を採用する際の流れ
1.受け入れ要件を確認する
まず、大前提として、自社が特定技能の受け入れ要件を満たしている企業なのかを確認する必要があります。
特定技能外国人を受け入れることができるのは、とくに人材不足が深刻な14業種に限られています。
14業種 | 介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設業、造船・舶用業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業 |
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上記の14業種に該当し、さらに社会保険などの税金をきちんと納めていることや、過去1年以内に特定技能外国人を解雇したり行方不明者を発生させたりしていないなどの条件を満たしているか確認しましょう。
2.人材募集・面接
1)日本国内の外国人の場合(留学生、技能実習生、そして家族滞在など。)
国内にいる外国人の場合、既に何らかの在留資格を持っているはずですので、その場合在留資格の変更が必要となります。
とくに技能実習2号を修了している外国人であれば、日本語能力試験や技能評価試験が免除されるなどのメリットがあります。
2)海外の外国人の場合
もし海外にすでに支社や事業所があるのならば、その支社や事業所が人材を募集し面接を行うことができるでしょう。
現地に支社などを持たない企業は、国によって指定された送り出し機関を仲介者として外国人を雇用することが可能です。国によっては必ず送り出し機関を利用しなければならない場合もあるので、送り出し機関と提携している人材紹介会社を利用しましょう。
3.特定技能評価試験と日本語能力試験
特定技能外国人を採用する場合、特定技能評価試験と日本語能力試験を受験し、一定以上の成績を修めていることが重要です。
日本語能力を問う試験は、国際交流基金日本語基礎テストと日本語能力試験の2つがあり、介護分野の場合はさらに介護日本語評価試験があります。
日本語能力試験の場合にはN4以上、国際交流基金日本語基礎テストの場合にはA2以上の成績が必要となります。さらに日本語能力試験に加え、産業分野ごとの特定技能評価試験に合格していなければなりません。
これらの試験に合格していないと、特定技能ビザが取得できないので注意すべきポイントです。
4.雇用契約を結ぶ
外国人が特定技能ビザを取得できる見込みがあることが確認できたなら、労働基準法に定められているように雇用契約を結びます。特定技能ビザの申請には雇用契約書が必要となるので、必ず雇用契約を結んでからビザの申請を行うようにしましょう。
5.支援計画の策定
雇用契約を結んだ後は、支援計画の策定を行います。
特定技能外国人を受け入れる企業は、その外国人が日本で快適に生活し働けるよう支援を行う義務があります。特定技能の在留資格申請を行う際には、支援計画書を添付する必要があるので、申請の前に必ず策定しなければなりません。
もし企業が支援計画の策定が難しい場合には、登録支援機関に委託することも可能です。
6.在留資格申請を行う
必要書類がすべて揃ったら在留資格申請を行います。
在留資格の申請については以前のブログに記載した通りです。
【いざ、就労ビザの手続き!②】
必要書類には、外国人本人に関するものだけでなく、受け入れ機関に関するものや受け入れ機関の業種や分野に関するものもありますのでしっかり確認しててください。
7.雇用開始
無事に在留資格取得、変更が完了したら、特定技能外国人として雇用することができます。
雇用契約に書いてある通りの待遇を行うことはもちろん、ハローワークや出入国管理庁などへの届け出も忘れにないようにしましょう。
特定技能で人材採用する費用
特定技能で人材採用する際には、大きく分けて3つの費用が必要となります。
①人材紹介料・送出機関に支払う費用
1)人材紹介料
登録支援機関や人材紹介会社を活用する場合は、紹介手数料として、特定技能外国人の年収の20-30%や固定の手数料(10万円〜30万円)が1名採用ごとに発生してきます。
自社で募集する場合は費用はかかりませんが、募集条件の見せ方や母国語での求人作成等、外国人の募集は工夫を凝らさないと全く候補者が集まらないこともあるため、初めて外国人を採用する場合は人材紹介会社に依頼した方が良いでしょう。
一方で、すでに自社で雇用している技能実習生(2号・3号)を特定技能1号へ移行する場合は、こちらの費用はかかりません。
2)送出機関
国外に在住する外国人を特定技能として雇用する場合は注意が必要です。
理由としては、日本国政府と送り出し国(14ヵ国)各国との間で締結した、二国間協定(MOC)によって、送り出し機関を必ず通さなければならない国も存在するためです。
例えばベトナムの場合は、特定技能外国人の給与額の1ヶ月〜最大3ヶ月分の手数料を徴収可能と規定されています。
これは、先に説明した二国間協定(MOC)に基づき、越労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局(DOLAB)がベトナム国内の送り出し機関宛に出した「日本への特定技能労働者提供契約と労働者派遣契約について」という通知にしっかりと明記されています。
人材の給与が20万円と仮定すると、最低でも20万円、最大で60万円もの人材紹介・手続き手数料を送り出し機関に支払う必要があるのです。
現状送り出し機関を必ず通さなければならない国としては、以下の4か国となっています。
・フィリピン
・カンボジア
・ベトナム
・ミャンマー
このように、国外から呼び寄せる場合は、どの程度の金額を送り出し機関に支払う必要があるのか、事前に確認することが重要です。
②特定技能外国人のビザ申請や支援にかかる費用
特定技能における在留資格申請は、準備しなければならない書類の数が膨大かつ複雑なため、専門知識を有する外部の行政書士や登録支援機関に委託する企業が大半です。
初回の申請書類作成委託費用(在留資格認定・変更許可申請)は、約10〜20万円程度が多いでしょう。
自社で対応することも可能ではありますが、かなりハードルが高いのであまりおすすめはできません。そもそもと在留許可申請が不許可になってしまう場合や、書類に不備があった際の対応に時間がかかり、待ちきれなくなった外国人材側から内定辞退され他社へ行かれてしまうなど、多くのリスクを負うことになってしまうためです。
人材を集める時と同じく、初めて特定技能外国人を雇用する場合は、多少費用がかかったとしても外部のプロに任せた方がスムーズに手続きが進むでしょう。
③特定技能外国人本人に支払う費用
最後に入社前の事前ガイダンスや住居探し、さまざまな契約などの支援を実施する際に労務費や準備費用がかかります。
1)渡航費用
これは、海外から日本に呼び寄せる場合ですが、その渡航費については基本的には本人負担でも問題ございません。(もちろん、事前に本人との話し合いで合意を得ている必要はあります。)
しかし、先ほどの二国間協定(MOC)によっては、受け入れ側企業が負担するよう取り決めがなされているケースがあったり、送り出し機関によっても、受け入れ企業側に費用負担を求めてくる場合があります。
その場合は、国によって異なりますが、大体4〜10万円程の費用が掛かると見込みです。
2)住居の準備費用
国外から呼び寄せる場合は本人が物理的に住居の準備ができないので、賃貸部兼を準備する場合は初期費用全般が発生してきます。
しかし、国内在住者で自分で住居を準備できますという希望の特定技能外国人に対しては、特段受け入れ企業側が対応する必要はありません。もちろん、初期費用等も企業側が負担する必要もございません。
ただし、1名あたり7.5平米以上の居室が確保されているか、また契約時の日本語サポートなどは適宜確認と対応が必要になってくるケースがありますので、ご注意ください。
毎月の家賃に関しても、基本的には特定技能本人が全額負担でも問題ないこととなっていますので、こちらの点も技能実習とは大きく異なる点となっています。
3)給与及び福利厚生
特定技能外国人に対して支払う給与は、同じ程度の技能を有する日本人が従事する場合と同等以上の金額である必要があります。
特定技能外国人は技能試験と日本語試験に合格した一定の経験・知識を有する者、または技能実習2号・3号を満了した者であるため、報酬に関しては日本人と同等水準以上が求められています。
また、福利厚生に関しても、当然特定技能外国人も対象となります。特定技能外国人のみ手当や福利厚生施設の利用ができないなど、差別的な扱いをしてはならないと法令でもしっかりと規定されています。
受け入れ企業や業種によって千差万別ですが、額面22〜30万円程度+法定福利費+各種手当になるイメージです。
~特定技能で人材採用する際の流れや費用についてはしっかり確認しよう ~
今回は特定技能外国人を採用する際の流れと費用についてお話してきましたが、いかがでしたか。
次回は国内採用と国外採用の費用面のまとめ、採用コストを抑えるアドバイスをしていきたいと思います。